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なにも知りません

オタク、短歌を詠む

ジャニーズアイドルにまつわるWEB短歌集『J31Gate』さん 第20回に、拙作を2首掲載していただきました。

以前から遠巻きに楽しそうだな〜と眺めていた企画だったので、今回初めて参加できて本当に嬉しいです!

 

野暮とは知りつつ、以下解説です。

020 夜明けが連れてきたきみは彼は誰の黒と光芒の白を抱いて

言わずもがな、2首とも矢花くんを思って詠んだ歌になります。今回はアイドル名を伏せた状態での発表でしたので、もうちょっとそれを生かした作り方ができればよかったな……というのは反省点のひとつ。

この歌、1ヶ月遅れの誕生日祝いの気持ちも込めた歌になりました。2000年8月10日の明け方に生まれたという矢花くん。そのことにちなんで、「黎」というとっても綺麗で素敵な名前をご両親から授かっています。矢花担は全員もれなく彼の名前が大好き!(クソデカ主語)そんな同担の皆さんにはとっくにご周知でありましょうが、この「黎」という漢字、訓読みで「くろ」と読み、「黎明」のように"夜明け前の暗がり"を指して使われることが多い漢字です。

そんな名前に「くろ」を背負った矢花くんの、7 MEN 侍におけるメンバーカラーはなんと正反対の「白」。グループ加入時に青か白の2択で自ら白を選んだのだとか。

「色」がテーマでメンバーカラーを詠み込むというのはベタベタのベタではありますが、やはりこのちぐはぐさに矢花くんらしさがとても表れているような気がして、詠まずにはいられませんでした。

YouTubeではグループのMC&ツッコミ担当として、容赦なく浴びせられるメンバーの愛あるボケを1つ残らず丁寧にさばいたかと思えば、ステージではヘドバン、デスボ、歯ベース、しまいには自分の楽器すら放り出して縦横無尽に大暴れ……とおおよそジャニーズらしからぬ激しいパフォーマンス。長尺1人喋りで大好きな楽器や音楽の話をたくさん聞かせてくれるISLAND TVや、「思想が強い」と揶揄されるほどのハイカロリーなブログからは思慮深さや繊細さ、ちょっぴりの卑屈さが感じられるのに、誕生日をサプライズでお祝いされて思わず涙が出てしまうピュアさも持ち合わせている。そんな見ていて飽きない二面性の数々を、「黒」と「白」の2色で表現できたらなと思いました。

「彼は誰」は「かはたれ」と読み、相手の顔がよく見えず、「あなたは誰ですか?」と問いかけなければならないほど薄暗い明け方を意味しています。ちなみに夕暮れ時は「誰そ彼/黄昏(たそかれ)」といいます。

「『普通』ってなんだろう」「『知る』ってどういうことだろう」「『運命』を信じますか?」など、しばしばブログで我々に問いを投げかけてくれる矢花くん。どれも抽象的でひとことで答えるのは困難なトピックばかりですが、それぞれの価値観や生き方が色濃く表れます。これすなわち、「あなたはどういう人間ですか?」「あなたは誰ですか?」と、暗闇の中から問いかけられているのと同義であるような気がします。逆にこちら側から、「矢花くんってどういう人なんだろう」「何を考えているのだろう」と近寄っても、その全貌が見えてくることはない。矢花くんが纏う「黒」は深淵の黒でもあるのです。

夜明けが来ると朝日が昇ります。「ネガティブ」だなんだと自分では言っていても、「たくさんの人に音楽をもっと楽しんでほしい」「ファンの人々にいい影響を与えられたら」というアイドルとしての信念は、いつでも頑固なほどにブレない矢花くん。そんな矢花くんの澄み切った芯の部分を、空を真っ直ぐに照らす白い朝日の光と重ねて詠みました。「黎」の名前も"光線"を表す「Ray」と発音が似てますしね。

 

021 「共感覚ってほんと?」色を音に変換するエフェクターが問う

共感覚とは、文字に色がついて見えたり、音に色を感じたりする現象です。わたし自身共感覚を持っている……と断言できるほどではなく、どちらかと言えば自分の見たもの、感じたものをそうして別の概念として変換して感じ取ることができる人に憧れがあります。また、そうして感じ取ったものを再変換して、言葉や、絵画や、音楽などとしてアウトプットできる人たちには、少なからず共感覚的な感性が備わっているのかな、と感じるし、そういう人のことを本当に尊敬しています。そんな共感覚の「変換」の機能を、矢花くんがいっとうこだわりを持っている楽器のエフェクターに重ねて詠んでみました。

矢花くんの奏でる音を聴くたびに、これは彼が五感をフルに活用して、命をかけて、見て、聴いて、触れて、感じてきたものすべてが、変換・圧縮・加工されて詰まっているのかもしれないなぁ、と思う。そんな「音楽」という唯一無二で強大な武器を持っているにもかかわらず、さらに言葉を尽くしてどうにか我々に自分を理解してもらわんとしているのがやはり面白い人だなと思うし、それは彼なりの優しさなのではないだろうか。であれば、たとえわたしが共感覚を持ち合わせていなくても、エフェクターの扱いなどまるで何もわからなくても、せめてできる限り誠実に、その表現に向き合う態度は示していきたい。そんなわたしの気持ち。

問われている側が矢花くん、とも解釈できるかもしれませんね!矢花くんもわたしも多元的解釈ができる作品が好きなタチのようなので、これ以上の言及は避けようと思います。どんな印象を受けたか、どのように解釈されたか、後学のためにも教えていただけると嬉しいです!

歌の後半がちょっと説明くさいな〜と思ったのですが、矢花くんの理屈っぽさを表現するためにあえてということd嘘です!!!!!!!!!!わたしの力不足に他なりません!!!!!!!!!!精進します!!!!!!!!!!

 

今まで何かを創作して、それを作品として世に出すというのがあまり得意ではなく(ブログは作品というより掃き溜めって感じなので……)、だからこそ、クサいセリフも音楽に乗せて全力で言葉にすることができるアイドルが好きだった節もあるのですが、短歌を作るのは拙いながらもとっても楽しかったです。アイドルには、特に矢花くんには、ファンである我々にも何かを語らせる、思わず何かを表現したくなる、そんな気持ちを引きずり出すパワーがあるのだろうなと改めて思いました。

素敵な企画に参加させていただきありがとうございました!反省点も多々見つかったことですし、またどこかの機会にリトライしに来ます。